陣痛誘発・陣痛促進についての説明

陣痛誘発」とは、自然に陣痛が発来する前に陣痛促進薬などを用いて子宮収縮を起こし、陣痛を開始させることです。自然に発来した陣痛が弱いために分娩進行が停滞するときにも陣痛促進薬を使用しますが、この場合は「陣痛促進」といいます。

陣痛誘発・促進が必要な場合

1.分娩予定日を1週間以上越えた場合:分娩予定日を1週間以上過ぎると、胎盤機能が低下し、赤ちゃんの状態が悪くなることがあり、陣痛誘発を行います。

2.前期破水:陣痛が始まる前に破水した場合には、分娩が長期化すると母児への感染が起こることがあるので、破水が起こっても一定時間以上陣痛が始まらない場合に陣痛誘発を行います。

3.母体の疾患(妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病など)や赤ちゃんの状態(発育の状態や胎盤機能不全、羊水過少・羊水混濁のある場合、出生後早期に治療が必要な場合など)によっても分娩誘発を検討します。      

4.微弱陣痛:陣痛が始まっても、長時間陣痛の弱い状態が続くと分娩進行がとどこおり、母児ともに疲れてしまいます。このような場合に分娩の進行を助けるために陣痛促進を行います。

入院してからの流れ

1.陣痛誘発

入院当日:

内診して子宮頚管の熟化を確認します。子宮頚管の熟化が十分でない場合は、ラミナリア1、ミニメトロ2などを子宮頚管に挿入し、子宮頚管の熟化を図ります。この場合、感染予防のために抗生物質を使用します。子宮頚管の熟化が十分である場合は、入院当日から陣痛促進薬を使用することもあります。

注1)ラミナリア:海草の一種を乾燥させたものを長さ5cm程度の細い棒状にしたもので、水分を吸収して膨張する性質をもちます。子宮頚管内に挿入し、機械的に頚管を開く作用があります。

注2)ミニメトロ:直径4cm程度の水風船を子宮頚管から子宮内(子宮頚管と児頭の間)に挿入し、生理食塩水で膨らませます。機械的に頚管を開く作用があります。

入院翌日(陣痛誘発1日目):

陣痛促進薬による陣痛誘発を朝から開始します。使用する薬剤は妊娠週数、子宮頚管の状態、母児の状態などにより選択されます(下記参照)。

*陣痛誘発を行っても、1日で分娩に到らないこともあります。夕方までに陣痛が十分でなく、分娩が進行しなかった場合は、陣痛誘発を中止し翌朝から再開します。薬剤変更となる場合もあります。

2.陣痛促進

分娩進行中に陣痛が弱いため分娩進行が滞っている場合は、母児の疲労によるリスクを避けるため適宜陣痛促進を行います。

陣痛促進薬の種類と実際の使用方法について

陣痛促進薬には、自然分娩の際に脳の下垂体から分泌されるオキシトシンの製剤(注射薬)と陣痛とともに体内から産出して子宮の出口を軟らかくする作用をもっているプロスタグランジンの製剤(内服薬と注射薬)があります。オキシトシン製剤とプロスタグランジン製剤を同時に用いることはありません。途中で変更されることは可能とされています。

経口薬:プロスタグランジンE2

1時間に1錠ずつ内服し、最高6錠まで使用します。その間に陣痛が強くなってきたら服用を中止し、必要に応じて注射薬に切り替えます。

注射薬:オキシトシンまたはプロスタグランジンF2α

注射薬は、子宮収縮の状況や赤ちゃんの状態をみながら点滴する速度を速めていきます。輸液ポンプを用いて薬液量を厳密に調整しながら最小量から開始し、有効な陣痛が得られるまで、徐々に増量していきます。胎児や子宮収縮(陣痛の状態)を客観的に把握する為に分娩監視装置を母体のお腹につけて、不測の事態に備えます。

起こりうる合併症について

慎重な陣痛促進薬の使用と、厳重な分娩監視を心がけることで陣痛誘発の危険性はほとんどないものと考えられていますが、以下のような合併症が起こりえます。

「過強陣痛」:陣痛促進薬により陣痛が強くなりすぎること。

「子宮破裂」、「羊水塞栓症(分娩時に羊水が母体の肺血管に入り呼吸困難と血圧低下がおこる)」などが起こることもありますが、陣痛促進薬を適正に使用しているかぎり、これらの危険性が自然分娩に比べて増すということはありません。

その他、他の薬剤と同様に、一時的な吐き気や、血圧の上昇、アレルギー反応(発疹、発熱、重症例では血圧低下や意識レベル低下など)が起こる場合があります。

陣痛促進薬を使用しても出産が順調に進まない場合は、帝王切開をしなければいけないこともあります。

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