妊娠中・産褥のインフルエンザ感染について

妊婦さんはインフルエンザに罹患すると重篤な合併症をおこしやすいとされています。
2009年の新型インフルエンザの流行の際には、妊婦さんは妊娠していない人にくらべて、入院率が高く、アメリカにおいては、妊婦さんは人口の1%であるのに対して、死亡者の5%を占めました。また、自然流産、早産、低出生体重児、子宮内胎児発育遅延、胎児死亡が増加することも知られています。

インフルエンザワクチンの接種はインフルエンザの予防に有効であり、
・母体および胎児への危険性が全妊娠期間を通じてひくく、
・妊娠中の妊婦さんへの有用性が明らかである、
・生後6ヶ月までの児のインフルエンザの罹患率が低下すること(お母さんの体でつくられた抗体が胎盤を通じて赤ちゃんにいくからです)、
ということから、妊婦さんと乳児の双方に利益をもたらす可能性があり、推奨されています。

インフルエンザに感染した妊婦さん・産後2週間以内のお母さんへの抗インフルエンザウイルス薬の投与は重症化を予防するエビデンスがあります。また、現在までに、オセルタミビル(=タミフル)、ザナミビル(=リレンザ)の投与に投与による胎児へ催奇形性を含めた有害事象の報告はないことから、症状の重い場合は、早期の抗ウイルス薬の内服が勧められます。

また、妊娠後半や分娩後2週間以内に関しては、予防投与を考慮してもいいかもしれません。

いずれにせよ、風邪症状のある場合には早めに受診してください。
当院は妊婦さん、褥婦さんの発熱外来の受診については、当院のかかりつけであるかにかかわらず積極的に受け入れています。

お母さんが元気であって、はじめて赤ちゃんも元気に育つことができます。
予防接種を受けておくこと、感染した場合にはこじらせないことが大切です。

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