妊娠初期( 4-15週頃)

今後の妊娠経過の安全を評価する大事な時期です.妊娠反応を確認したらなるべくはやめに受診してください。

妊娠が確認された場合(初診時)、その妊娠がハイリスクであるか否かのリスク査定を問診票をもちいておこなっています。アレルギーの有無(とくに喘息やアナフィラキシーショックの既往)は重要です。

一般に産科固有の合併症(早産、妊娠高血圧腎症、HELLP症候群、常位胎盤早期剥離、巨大児等)は繰り返しやすい(再発しやすい)という特徴がありますので、既往がある場合には再発に注意して管理することとします。

巨大児出生既往や肩甲難産既往のある妊婦さんは耐糖能機能異常をもっている可能性が高いので、とくに妊娠糖尿病の診断の検査を行うことがあります(妊娠糖尿病については、日本糖尿病・妊娠学会の Q and A;をご覧ください。)。

前児が GBS 感染症だった場合には、GBS 陽性として扱い、現妊娠中の GBS 検出の有無にかかわらず、分娩時にはペニシリン系の抗菌薬による母子感染の予防をおこないますこちらをご覧ください

静脈血栓症既往妊婦と血栓性素因のある妊婦は血栓塞栓症最高リスクの妊婦に分類し、適切な血栓症予防をおこないます。動静脈血栓、IUGR 早産既往、早発発症妊娠高血圧症候群既往、あるいは3回以上の流産歴があるような場合には抗リン脂質抗体症候群の可能性もあり、血液検査等で精査します(これらの病気の既往がある場合には、妊娠する前に来院され、精査したのちに妊娠されることをお勧めします)。

血圧測定・尿化学検査(糖・蛋白)も簡単な検査ですが情報量が多く、また糖尿病や妊娠高血圧症候群の診断に有用なので毎回行います。

子宮頸がん検診もこの時期におこないます。

健康な方が妊娠したとしても、稽留流産・子宮外妊娠・胞状奇胎などがおこる可能性はありますし、子宮筋腫や卵巣嚢腫等の疾患を合併している場合もあります。これらの疾患の鑑別のため、また多胎妊娠の診断、正確な妊娠週数の把握のために、妊娠初期に来院された患者さんに対しては、12週までに 3回程度、診察・評価させていただいています。

帯下が多い方、においが気になる方、早産の既往がある方の場合は、膣の細菌叢の確認検査をさせていただいています。

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