新型コロナワクチンの接種について、外来での質問が多いので、まとめておきます。
幸い当院で妊婦検診を受けている妊婦さんの中で新型コロナウイルスに感染した患者さんはいままでのところひとりもいません。みなさんが感染予防をしっかりしてくださっているからだと思っています。しかし、市原市の PCR 陽性者数は人口約27万人に対し、800人を超えており、市中に感染が広がっている注意が必要な状況です。
理論的には、母体、胎児ともに妊娠期間を通じて問題ないと考えてよいです。アメリカでは現時点でかなり多くの妊婦さんが接種をうけ、とくに重大な問題は発生していません。
アメリカと日本では感染状況がかなり違いますが、現在、ご質問いただくのは主に医療機関や介護施設に勤務している方々です。
まず、妊娠中に新型コロナウイルスに感染した場合、どうなるのか。
一般的に妊婦さんが感染症となると、年齢に比べて重症化する傾向があること(例えばインフルエンザの場合、臨月に感染すると普段の5倍ぐらい入院する確率があがること)、胎児への影響のため使うことのできる薬が限られること、母体が重症化することにより早産など胎児にも影響がでることは知られています。
日本産婦人科感染症学会の 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について、妊娠中ならびに妊娠を希望される方へ 第12版(リンク)をみても、若いからといって危険性がない、とは言い切れないです。
それを踏まえたうえで、
2021年1月27日に出された日本産科婦人科学会の見解(リンク)では、
現時点では妊婦に対する安全性、とくに中・長期的な副反応副反応、胎児および出生児のへの安全性は確立していない(ちなみにこの文言はほとんどすべてのお薬に同じ内容がかかれています)、としつつ、
妊婦をワクチン接種対象から除外することはしない(器官形成期(妊娠12週まで)は、ワクチン接種をさける)。
感染リスクが高い医療従事者、重症化リスクがある可能性がある肥満や糖尿病など基礎疾患を合併している方は、ワクチン接種を考慮する。
とされています。ご自身の職場での環境に応じて判断していただければと思います。
ちなみに、こびナビ というサイトを読んでいただければ、よくまとまっているので、参考にしてくださいね。私の千葉大時代の後輩の先生たちが中心となって活動してくれてます。