麻疹(はしか)ワクチン接種について

報道されているように、現在、日本国内で麻疹の感染が報告されています。

麻疹は、麻疹ウイルスによって引き起こされる急性の全身感染症として知られています。
麻疹ウイルスの感染経路は、空気感染、飛沫感染、接触感染で、ヒトからヒトへ感染が伝播し、その感染力は非常に強いと言われています。免疫を持っていない人が感染すると、ほぼ100%発症し、一度感染して発症すると一生免疫が持続すると言われています(これ大事です)。また、予防接種を2回接種していれば、ほぼ心配する必要はない病気です。

過去の麻疹の感染者数、死亡者数は以下のグラフのとおり1)となっています。
以前は非常に怖い病気でしたが、社会の公衆衛生状況、栄養状態の改善、予防接種により死亡者数、感染者数は以前よりも非常にすくなくなっているのが、おわかりいただけるかと思います。

予防接種の追加に関しては、
既往感染が明らかな場合、2回接種が記録にある場合は必要ないです。

1990年4月2日生まれ以降の方は、
2回の個別接種をうけていることが多いと思われます(母子手帳などで確認してください)。

1972年10月1日ー1990年4月2日生 は 1回接種、それ以前の方は、1回も接種していないと思われます。

したがって、麻疹感染が明らかでない1990年4月1日以前に生まれた方、
それ以降でも、母子手帳などで記録が明らかでない方は、予防接種をうけることを検討していただきたいです。

そこで、一つ参考となるのが、体に麻疹の感染を予防する抗体があるかどうかです。
感染予防に十分な抗体ができていれば、接種の必要はありません。

実際に 2022年になされた調査では、以下のとおりとなっています2)。接種歴のない方(およそ50歳以上の方のほとんど)は抗体が存在していれば、自然感染があったと考えられますので、予防接種の追加は必要ないです。また、一回接種の方も PA抗体価で256倍以上であれば、感染予防に十分だと考えられています。


予防接種の接種歴がないお子さんは麻疹に対して無防備であり、1歳になったらはやめの接種をすることをお勧めします。(生後6ヶ月ぐらいまでのお子さんは、お腹の中にいるときにお母さんの抗体をわけてもらっているので、お母さんに抗体があれば大丈夫なことが多いです。6-12ヶ月に関しては、逆にその抗体が免疫をつくるのに邪魔をするので予防接種の効果がでにくいとされています)。

1980-2000年(古くて申し訳ないです)の麻疹での死者数1)はこのようになっています。0歳から5歳までのお子さんの危険が他の年代よりも大きいです。

ワクチンの効果については、

我が国においても、麻疹が時に多くの小児の死亡をもたらす疾患であることは幾つかの調査より知ることができる。1998(平成10)年~2001(平成13)年までに確認された麻疹による死亡者数は沖縄県では9人、大阪府においては10人である。 麻疹に罹患した児の特徴として、沖縄県、大阪府、高知県においては1歳児が最多、北海道では0歳児が最多であった。また高知県では、学校における麻疹欠席者数が小学校3.7%、 中学校1.7%、 高校0.6%と多く認められたという特徴があった。  麻しんワクチン接種歴については、沖縄県では麻疹による入院患者中92%が、大阪府では全体の94.3%、高知県では不明を含め95.4%がワクチン未接種であった。2)

という調査結果があります。

以上のことから、なるべく多くの方にワクチン接種をお願いしたい(ご自身はもちろん、予防接種が2回接種をおわっていない子供たちの安全を確保するため)ところですが、
タイミングがわるいことに、現在、麻疹のワクチンに出荷制限がかかっており、例年の接種の数を大きく超えての入荷は厳しい状況です3)

したがって、当院では、以下のようにさせていただいています。
1)1歳、小学校入学前のお子さん(定期予防接種)
事前に抗体検査をおこない、予防に不十分な場合にかぎったうえで
2)1歳前のお子さんのいる同居しているご家族の方(ちなみに当院で分娩された方で産後に風疹の抗体価が低く予防接種をうけたお母さんは麻疹風疹の混合ワクチンを接種しているので1回接種とされている年齢でも接種の必要はないです)
3)医療従事者、保育関係など小さな子供に接する機会の多い方
を優先させていただきます。

それ以外の方は、まずは抗体検査をおこなっていただいてから、ワクチンの供給に余裕ができてきた場合にご連絡を差し上げます。

以上、よろしくお願い致します。

2024/3/16 有秋台医院 院長 鶴岡信栄

1)国立感染症研究所 感染情報センター 平成14年10月 麻疹の現状と今後の対策について
2)国立感染症研究所 麻疹の抗体保有状況―2022年度感染症流行予測調査(暫定結果)
3)厚生労働省 ワクチンの供給状況について ・乾燥弱毒生麻しん風しん混合ワクチン及び乾燥弱毒生麻しんワクチンの製造販売業者による自主回収への対応について(令和6年1月16日通知)[534KB]

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